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生まれてこなければよかった・・・なんて思う時もある。
でも人は何かを背負っている訳で、その責任から逃れることができない。

それ故に、どうしても独りで耐えなきゃいけない時があるんだな。

嗚咽をしようが手首を噛もうが、死刑宣告をされるようなその鼓動がおさまることはない。
ぼくにもそんな時があった。

そんな時、このフジコさんの「月の光」は、ぼくを救ってくれたものだ。

ぼくの荒れ狂う鼓動を、ただひたすらにやわらげてくれた。

あの日、あの時、喫茶店の片隅でぼくは少し前かがみになりイヤホンを耳に押し付け、
フジコさんのこの演奏をいつまでもいつまでもリピートで聴いていた。

最悪な事態になるか、少なくとも最悪から少しは逃れられるか・・・
ぼくにとっては、そんな些細な違いがとても大きな違いに感じられた長い長い時間だった。

あれから幾年が過ぎ、今ぼくは自分の好きな仕事をしている。

人生なんて、先の事は何ひとつわからないものだ。

でも、これだけは言える。
あきらめずに自分が正しいと思う道を歩いていけば、きっと未来がある、と。

世の中を信じること。
そして、自分を信じること。